箱根 彫刻の森美術館

常設作品紹介

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井上武吉  (日本  1930-1997)

「my sky hole 79 天をのぞく穴」1979年

強化ガラス、鉄、ステンレス・スティール、ゴム、コクリート 440×760×270 cm

「my sky hole 84 HAKONE」1984年

ステンレス・スティール、耐久性銅(コルテン)、ステンレス・スティール・ワイヤー 1200×600×600 cm

井上は1978年から「マイ・スカイ・ホール」をテーマに様々な形、大きさの作品を制作している。「マイ・スカイ・ホール」とは、天をのぞく穴であり、自分だけの至福の空間のことで、この考えを初めて具現化したのがこの作品である。鉄の箱から地下にもぐり、ガラスの箱から再び出るという鑑賞者の体験そのものを作品としている。地下の小部屋にある丸い小さな椅子に座り、上を見上げると、「天をのぞく穴」が開いている。作者によると、ここは「地球の数動が感じられる場所、宇宙を語れる場所」である。巨大な錆色の4本の柱から直径2メートルの磨き上げたステンレス・スティールの球が下がっている。4本の柱が大きな平行四辺形を支え、中に入って見上げると、ステンレスの球に映った歪んだ景色と周りの空とが一気に目に入り、大地が傾いたような不思議な風景が体験できる。作品の根底には「量塊」である球体が空の穴、つまり虚の「空間」となって消失していくという発想の転換がある。