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伊藤隆道 16本の回転する曲がった棒 1969年

4カ所が折れ曲がった棒が16本、規則正しく回転しています。磨きあげられたステンレスは、回る度に光を反射し、一定のリズムを刻んでいます。堅い素材でできているのに、くねくねとうねっているように見えますね。作品の前に立つと、つい時間を忘れ、そのユニークな動きに見入ってしまいます。長い間、どっしりと動かないものとされていた彫刻ですが、20世紀にはいり、彫刻のあり方そのものが変わるなか、動きを伴う彫刻も登場します。この作品がつくられた1960年代には、動く彫刻が、ヨーロッパを中心に数多く作られるようになり、キネティック・アートと呼ばれるひとつのジャンルとして確立しました。作者の伊藤隆道は、日本における「動く彫刻」を代表する作家のひとりです。モーターの動力で動く作品は、目には見えない時間の流れを光と動きのなかに浮かびあがらせ、彫刻の新たな可能性を開きました。