彫刻の森美術館

《樹の水の音》2019年 楠に彩色、大理石  93×46.5×31cm
西村画廊蔵 Photo: 今井智己 © Katsura Funakoshi  Courtesy of Nishimura Gallery
※この写真は所蔵者の許可を得て撮影しています。実際の展示風景と異なります。

彫刻の森美術館 開館55周年記念 「舟越桂 森へ行く日」 atsura Funakoshi: The Day I Go to the Forest

彫刻の森美術館 開館55周年記念 「舟越桂 森へ行く日」 atsura Funakoshi: The Day I Go to the Forest

2024年7月26日[金]−11月4日[月・休] 彫刻の森美術館 本館ギャラリー

自然の中で人々と芸術家が交流する場として誕生した日本で初めての野外彫刻美術館である『彫刻の森美術館』。作品は芸術家の言葉であると考える当館が、周年を記念した展覧会にと2023年3月に舟越桂氏に依頼したことから本展の企画が始まり準備が進められてきましたが、2024年3月29日 舟越桂氏が逝去されました。本展は、最期までこの展覧会の実現を望み、励んでくださった作家本人の意思と、ご遺族の意向を尊重し開催されます。

開催概要

【展覧会名】
彫刻の森美術館 開館55周年記念「舟越桂 森へ行く日」
【アーティスト】
舟越桂
【会期】
2024年7月26日 (金) ~ 11月4日 (月・休)
【会場】
彫刻の森美術館 本館ギャラリー
【開館時間】
9:00 〜 17:00 (入館は閉館の30分前まで)
【休館日】
なし(年中無休)
【主催】
公益財団法人彫刻の森芸術文化財団
【協力】
西村画廊、三菱地所株式会社、現代企画室、メナード美術館、アンドーギャラリー、 京都 ギャラリー白川、高橋龍太郎コレクション
【出品点数】
立体22点、平面35点、資料展示

作家紹介

〜森へ行く日〜

「遠い目の人がいる。
自分の中を見つめているような遠い目をしている人がときどきいる。
もっとも遠いものとは、自分自身なのかもしれない。
世界を知ることとは、自分自身を知ることという一節を思い出す。
私が感じている人間の姿を代表し、象徴してくれるような個人に出会った時、
私はその人の像を作ってみたいと思う。」

(創作メモより)

遠くを見つめるまなざしを持った静かな佇まいの人物像で知られる彫刻家 舟越桂。 生涯を通じて人間とは何かを問い続けた彫刻家の作品の変遷とその創作の源となる視線に迫ります。

聖母子像や性別を感じさせない静謐な空気をまとった人物像は、その後、人間という存在の大きさや不思議さを象徴する山のようなイメージの人物像や、「祈り」の思いや行為に人間の姿を与えたという考えに至った「水に映る月蝕」(2004年)、そして東日本大震災がきっかけとなって制作された「海にとどく手」(2016年)、さらに両性具有の身体と長い耳を持った、人間を見つづける存在としての「スフィンクス」へ辿り着きます。一貫して人間の存在をテーマにしながら、様々に変容を遂げる作品を舟越は自ら「心象人物」と名付けました。

《海にとどく手》2016年
楠に彩色、大理石、雑木 193×112×89cm
個人蔵
Photo: 齊藤さだむ
© Katsura Funakoshi  Courtesy ofNishimura Gallery

「手と目と頭を使って人間の像を作ることで、思考だけでの理解を越えて、人間を把握することに変わっていかないだろうか。その時間のつみかさねで、私も人間について考えていると思いたい。」

『言葉の降る森』角川書店

具体的には目に見えない、しかし現実に人間がその回りに抱える問題、祈りや思いなどに人間の姿を与えながら、人間について考えることで舟越は「人は皆それぞれ、たった一度の人生を生きていく初めての存在なのだ」ということを証明するための物語を紡ぎ出そうとしていたのではないでしょうか。

本展が、自分と出会う場として、自分と向き合う時間として、皆様に届くことを願っております。

舟越 桂 Katsura Funakoshi

略歴

1951年
岩手県盛岡市生まれ
1975年
東京造形大学彫刻科卒業
1977年
東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
1986-87年
文化庁芸術家在外研修員としてロンドンに滞在
2024年
3月29日没 享年72歳

受賞歴

1995年
第26回中原悌二郎賞優秀賞受賞
1997年
第18回平櫛田中賞受賞
2011年
紫綬褒章受賞

展覧会歴

1988年
「第43回ヴェネチア・ビエンナーレ」イタリア
1992年
「ドクメンタIX」カッセル、ドイツ
2003-04年
「舟越桂 Works: 1980-2003」
東京都現代美術館/栃木県立美術館/北海道立旭川美術館/高松市美術館/ 岩手県立美術館/広島市現代美術館
2008年
「舟越桂 夏の邸宅 アール・デコ空間と彫刻、ドローイング、版画」東京都庭園美術館
2012年
「開館25周年記念展 舟越桂2012 永遠をみるひと」メナード美術館
2015-16年
「舟越桂 私の中のスフィンクス」
兵庫県立美術館/群馬県立館林美術館/三重県立美術館 /新潟市美術館
2020年
「舟越桂 私の中にある泉」渋谷区立松濤美術館

展示構成・見どころ

展示室1 ー 僕が気に入っている ー

舟越のまわりは、いつも自身が気に入っているものに囲まれています。そしてそこには必ず舟越の手ざわりの跡が残されています。それはアトリエであっても、どこであっても変わることがありませんでした。代表作のひとつ《妻の肖像》(1979-80年)は、舟越のアトリエに大切に置かれています。

展示室1の前半部分では、日々の創作活動を垣間みれるデッサンやメモ、舟越が実際の制作に使っていた手製の作業台やデッサン用の一本足のイスなどが展示されます。展示室1の後半部分では、病室の窓から見える雲がきっかけとなって生まれた「立てかけ風景画」を展示します。厚紙の裏に鉛筆で描かれた幻想的な風景画。舟越はこれを繰り返し描いては食事で出されるヨーグルトのカップで作った台に立てかけ眺めていました。

展示室2 ー 人間とは何か ー

「日々、世界で起こる戦争や紛争には怒りや憤りを感じます。しかし人にはそれぞれ役割があり、自分は怒りや悲しみをぶちまけるのではなく、人間の存在を肯定していきたいのです。」と語る舟越は人々が抱える孤独や矛盾、二面性にも目を向けます。

展示室2は、「人は山ほどに大きな存在なのだ」と感じた体験がもとになって生まれた彫刻《山と水の間に》(1998年)、「相反する自分」という考えから生まれた胴体が後ろ前の人物や、支え合って生きる人間の姿を描いたドローイング《雪の上の影》(2002年)などで構成されています。

展示室3 ー 心象人物 ー

一貫して人間の存在をテーマにしながら様々に変容を遂げる作品を舟越は自ら「心象人物」と名付けました。最初のイメージから言葉が見つからないままに制作を始めた《水に映る月蝕》(2004年)について、舟越はのちに“浮く“というイメージを見出し「それは現実から少し解き放たれることであり、そうであればそれは“祈り“の思いや行為に姿を与えたのかもしれない。」と語っています。

展示室3では、東日本大震災がきっかけとなって制作された《海にとどく手》(2016年)、人間のすることを丘の上から見続けているスフィンクスをイメージした《戦争を見るスフィンクスⅡ》(2006年)などで構成されます。 「世界を知るとは?」というスフィンクスの問いかけに「自分自身を知ること」と少女が答える場面に感銘を受けた舟越は、両性具有の身体と長い耳を持った、人間を見続ける存在としての「スフィンクス」を題材にした作品を多く残しました。

展示室4 ー『おもちゃのいいわけ』のための部屋 ー

1997年に『おもちゃのいいわけ』という一冊の本が生まれました。舟越が家族のために作ったたくさんのおもちゃ達が、姉・末盛千枝子氏によって出版されたものです。長く愛され続けてきた一冊が、本展覧会にあわせて27年ぶりに増補新版として刊行されます。

展示室4は、刊行を記念して「木っ端の家」や「クラッシックカー」といった往年のおもちゃ達とともに、新たに本に加わるものの中から「立ったまま寝ないの!ピノッキオ!!」(2007年)、「あの頃のボールをうら返した。」(2019年)などで構成されます。そして、入院中も絶えず描いていた創作のためのイメージデッサン。創作の源ともいえるその貴重な内容を舟越が自ら語った映像で紹介します。

展示作品(一部)

《樹の水の音》2019年
楠に彩色、大理石 93×46.5×31cm
西村画廊蔵
Photo: 岡野 圭
© Katsura Funakoshi  Courtesy of Nishimura Gallery
《海にとどく手》2016年
楠に彩色、大理石、雑木 193×112×89cm
個人蔵
Photo: 齊藤さだむ
© Katsura Funakoshi  Courtesy ofNishimura Gallery
《遠い手のスフィンクス》 2006年
楠に彩色、大理石、革、鉄 110×90×40.5cm
高橋龍太郎コレクション蔵
Photo: 内田芳孝
© Katsura Funakoshi  Courtesy of Nishimura Gallery
《DR1002》  2008年
紙にアクリル 54.5 x 39.5 cm
J. Suzuki蔵
© Katsura Funakoshi Courtesy of Nishimura Gallery
《 「私は街を飛ぶ」のためのドローイング 》2022年
紙にオイルパステル 41×33cm
Photo: 後藤 渉
《あの頃のボールをうら返した。》2019年
革、糸、楠、バネ、水彩、鉛筆 67×47×42㎝
Photo: 今井智己

イベント

キュレータートークなどを予定しています。詳細は展覧会ウェブサイトやSNSでご確認ください。随時、イベントの最新情報を更新していきます。

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