鈴木康広 始まりの庭
Yasuhiro Suzuki Spontaneous Garden
2017. 8.5sat. ー 2018. 2.25sun.
新着情報
第2回アーティスト・トーク&サイン会開催決定!
展覧会会場にて作家が参加者と一緒に会場を歩きながら作品解説を行います。
アーティスト・トーク終了後、公式図録をご購入の方にサイン会を行います。
日時:12月23日(土・祝)/ 13:30-14:15(約45分)
場所:本館ギャラリー
※予約不要
※ご参加希望の方は、13:30に本館ギャラリーまでお集まり下さい。
※プログラム内容が変更になる場合がございます。最新情報は随時更新します。
本館ギャラリーにて図録販売中です。1,000円(税込)
アーティスト・トーク開催決定!
展覧会会場にて作家による作品解説を行います。
日時:11月11日(土)/ 13:30-14:30 (約60分) 終了しました。
場所:本館ギャラリー
※事前予約、定員はありません。
ご参加希望の方は、13:30に本館ギャラリーまでお集まり下さい。
※プログラム内容が変更になる場合があります。
最新情報は随時更新します。
ご挨拶
彫刻の森美術館では、現代の新しい創作表現を紹介するシリーズの第7回として、「鈴木康広 始まりの庭」を開催いたします。
鈴木康広は、何気ない自然現象を見つめ直し、新たな感覚で翻訳した作品を制作しています。作品の題材は日常の中にあっても、鈴木の視点がそこに加わると当たり前に存在していたものに新たな発見が生じます。その瞬間の驚きが痛快で、思わず微笑んでしまうことでしょう。鈴木の“見立て”を巧みに具現化した作品の前では、子どもから大人まで、あらゆる世代の鑑賞者が一度は同じ視点に立ちながら、見る側それぞれが培った体験や環境によって異なる気づきも加わります。
本展では、性質の異なる3つの展示室で構成された本館ギャラリーを舞台に、新作11点を含む71点を展示。また第2会場のマルチホールでは、鈴木の代表作品《まばたきの葉》など、“まばたき”をテーマにした作品4点を紹介します。
さまざまな実験が潜む作品の庭を散策し、新たな記憶と発見の始まりの場となれば幸いです。
始まりの庭
2008年、東京・六本木 21_21 DESIGN SIGHTで開催された三宅一生ディレクション『21世紀人』展に参加し、地下の中庭に《始まりの庭》という作品を展示しました。結露した空気中の水がコンクリート製の切り株に波紋の「年輪」を描き出しました。冷却装置やコンクリートなど、人間が都市の中に生み出した人工物と、環境とともにある植物の形態をモティーフに、太古から変わらない水を通じて、生命の根源へと思いを馳せる場をつくりました。
それから10年の間に、日本列島がさまざまな自然災害に遭い、他者としての自然を意識する機会が増えました。そして、身近なものをモティーフに自分の視点を再認識する制作を続けるうちに、自然との向き合い方が自ずと作品になってきました。物理学をはじめとする客観的な自然観というよりも、個人の視点から発見した自然の見方や感じ方、自分の身体や思考を含めた、内なる「自然」の存在に気づくきっかけになったのです。
展示室内の自然のままに結露する水滴は、観る人がその場に居合わせることで、その時にしか生まれない「彫刻」になります。微細な振る舞いに心と身体を通わせ、予想外の水の行方を目撃した時、水と空気の見方が変わる瞬間が訪れます。古代の自然哲学者によって、万物の根源とされた水と空気。古代から変わらず生成しつづける絶え間ない揺らぎに、人と人、人と環境を見つめ直すヒントが今も隠されているような気がします。
今回、彫刻の森美術館の展覧会に向けて、野外の彫刻作品を新鮮な感覚で目の当たりにしました。そして、人間の存在とは何か、自然とは何かをあらためて考える機会を得ました。一見、変わらずそこにあり続けるように見える彫刻の姿こそ、安定を許さない自然環境の中で、手入れを行なう人間の存在と、彫刻に内包された多様な時間のスケールを意識しました。新作では、箱根の水と空気を素材として使用したことで、時間によって変化する空気中の硫黄の匂い、日によって透明度が変わる水道水など、箱根の水と空気を身体で感じながら作品の設営に臨みました。
科学的な知識や情報によって世界の見方が相対化されていくなかで、自然現象をはじめとする予測できない世界の様相をどのように捉え、向き合っていくべきか。日常に潜む自然発生的、偶発的なものとの関わりの中に、人と自然との新たな接点を発見したいと考えています。
鈴木康広
開催概要
展覧会名 | 鈴木康広 始まりの庭 |
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会期 | 2017年8月5日(土)~ 2018年2月25日(日) |
会場 |
彫刻の森美術館 本館ギャラリー / マルチホール (〒250-0493 神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121) |
開館時間 | 9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | なし(年中無休) |
入館料 | 大人1,600円 / 大・高校生1,200円 / 中・小学生800円 |
交通手段 | 箱根登山鉄道「彫刻の森」駅下車、徒歩2分 |
主催 | 彫刻の森美術館(公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団) |
後援 | 箱根町 / 箱根町教育委員会 / フジサンケイグループ |
協力 |
異才発掘プロジェクトROCKET 有限会社 イリス・アソシエーツ 株式会社 ゴトー工芸 / 株式会社 セイコープラスチックス 東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野 東芝ライテック株式会社 / トキ・コーポレーション株式会社 パイフォトニクス株式会社 / 福永紙工株式会社 マグネットフォース株式会社 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科 株式会社 メディアタージ |
会場構成 | アリワークス / 株式会社 クロス |
出品点数 |
本館ギャラリー 71点 (うち、新作11点) マルチホール 4点 合計 75点 |
作家プロフィール
鈴木康広 Yasuhiro Suzuki
1979年静岡県浜松市生まれ。2001年東京造形大学デザイン学科卒。
日常のふとした発見をモティーフに、誰もが知っているものを新鮮な感覚で捉え直す作品を制作。国内外の展覧会をはじめ、パブリックスペースのコミッションワーク、大学の研究機関や企業とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。代表作に《ファスナーの船》《まばたきの葉》《空気の人》など。
2014年には水戸芸術館にて個展を開催、金沢21世紀美術館で「鈴木康広『見立て』の実験室」を開催。2016年、「第1回ロンドン・デザイン・ビエンナーレ2016」に日本代表として公式参加。2014毎日デザイン賞受賞。作品集に『まばたきとはばたき』『近所の地球』(ともに青幻舎)、絵本『ぼくのにゃんた』(ブロンズ新社)がある。現在、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科准教授、東京大学先端科学技術研究センター中邑研究室客員研究員。
- 《りんごが鏡の中に落ちない理由》2013
- 《空気の涙》2017
- 《器の人》2014
- 《理想の色鉛筆》2017
- 《軽さを測る天秤》2017
- 《まばたきの葉》2003
プレスの方へ
図録
彫刻の森美術館では、現代の新しい創作表現を紹介するシリーズの第7回として、「鈴木康広 始まりの庭」展を開催中。
鈴木は、何気ない自然現象を見つめ直し、新たな感覚で翻訳した作品を発表している。公式図録である本書は、新作11点を含む75点の作品を作家によるコメント、イラストで紹介。
アートディレクション : 長嶋りかこ カメラマン : 木奥惠三
1.000円(消費税込み)A5 68ページ 全カラ―