フェルナン・レジェ 歩く花 1952年
この巨大な彫刻は、まるで太陽に向かって勢いよく前進しているように見えますね。タイトルは、《歩く花》。頭、手、足となる花びらは、明快な色彩で彩られ、生き生きとした動きをみせています。20世紀前半に活躍したフランスの画家―フェルナン・レジェは、晩年には、建築との共同作業を目的とするモニュメントを手がけました。《歩く花》は、レジェが亡くなった後、彼がつくった模型をもとに、6メートルのモニュメントに拡大されました。レジェは、他の多くの作家たちが高度に機能化していく近代世界に生きる人間の未来を憂慮するのと違い、近代の機械文明と素朴な人間生活の調和を夢見た作家です。この花は、まるでロボットのように行進しながら、力とエネルギーに満ちた文明社会の未来を賛美しているようにも思えます。