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井上武吉 my sky hole 79 天をのぞく穴 1979年

目の前には2メートル四方ほどの茶色い鉄の箱と透明なガラスの箱が、少し離れて置かれています。《天をのぞく穴》と題されたこの作品は、ただ作品を鑑賞するというものではありません。茶色い鉄の箱から地下にもぐり、透明なガラスの箱から再び外に出てくる鑑賞者の体験そのものが作品です。地下には狭い通路があり、そこを進んでいくと、右手に小さな丸い部屋があります。部屋のなかの丸い小さな椅子に座り、上を見上げれば、そこに、《天をのぞく穴》が開いています。まるで、母親の体内から、外をのぞきみる赤ん坊になったようです。作者によれば、この《天をのぞく穴》は、「ぼくだけが地球の鼓動を聞くことのできる場所、ぼくだけが宇宙を語れる場所」です。どうぞ、あなただけの時間を体験してみてください。