後藤良二 交叉する空間構造 1978年
黒い男性像と赤い女性像が、それぞれ72体、手と足をつなぎあい連なっています。両手を左右に大きく広げる姿は、踊っているようにも見えますね。作者の後藤良二は、具象と抽象、有機的な形態と幾何学的な形態などの対照的な表現形式をひとつにする方法を探していたといいます。そうしたなか、ある日何気なく見た金網の格子に、人のつながりがオーバーラップして見えたことが、この作品が生まれるきっかけとなりました。人間の姿を幾何学的に組み合わせることで、個々の人間の情念や感情を消し去ったこの作品は、人間の連帯が生み出す若々しいエネルギーを謳いあげています。